札幌市北区で後見制度を簡単に知りたい人へ

2025年02月22日

成年後見制度とは

札幌市北区を含む道内各地域では、高齢の方が認知症などで判断能力が不十分になった場合の支援として、後見制度を利用するケースが増えています。成年後見制度は、本人の財産を保護し、医療や介護などの重要な手続きにおいて安心して暮らせるよう手助けをする仕組みです。大切な親族を守るためには、制度の内容や費用、選任方法をしっかり理解することがポイントといえます。

法定後見と任意後見の違い

法定後見と任意後見は、どちらも成年後見制度の中核をなす仕組みですが、利用するタイミングや役割が異なります。法定後見はすでに本人の能力が低下している場面で家庭裁判所が後見人を選任し、財産管理や重要な契約の代理を行うものです。

 

一方、任意後見は本人が元気なうちに「将来、判断力が不十分になったときに備えて、後見を頼む人をあらかじめ決めておく」制度で、委任契約を結ぶ形で準備を進めます。法定後見には補助、保佐、後見という三つの類型があり、それぞれ本人の判断能力の程度によって変化します。

 

例えば、補助はまだ能力が不十分な部分が一部にとどまる場合、保佐はより広範囲な支援が必要な場合、後見は認知症などで重大な支援を要するケースで活用されます。札幌市北区でも、親族がどの段階で支援を始めればよいのか迷うことが多いため、早めに制度の概要を理解しておくことが大切でしょう。

後見人の役割と権限

成年後見人、または任意後見人の役割は、本人に代わって財産を管理し、必要に応じて各種の手続きや契約を代行することです。たとえば銀行口座の管理や不動産の売買、介護施設との契約といった業務を担い、本人の生活を安定させるために支援します。

 

ただし、後見人は万能ではなく、家庭裁判所の監督下で活動するため、勝手に財産を処分することはできません。報告義務や支出の記録など厳格なルールがあり、それによって権限の乱用を防ぎます。

 

誰が後見人になるかについては、親族が担うケースと弁護士、司法書士など第三者が就くケースがあります。親族がなる場合は本人との信頼関係を生かして支援できるメリットがありますが、公平性や専門性の確保という点からは、専門家を選任するほうがよい場面も出てきます。

 

札幌市北区でも「家族が後見人になるか、第三者に依頼すべきか迷っている」という人は多いのではないでしょうか?まずは制度の特性を把握し、それぞれの負担やメリットを比較することがおすすめです。

利用の流れと費用負担

法定後見を使う際は、本人または親族が家庭裁判所に申立を行うところから始まります。申立てには、医師の診断書や財産目録など複数の書類が必要で、審判までに数か月かかることも少なくありません。

 

審判が下りると、家庭裁判所が後見人や保佐人、補助人を選任し、支援が正式にスタートします。費用の目安としては、申立時にかかる手数料や鑑定費用、選任後は後見人の報酬などがあり、後見人の報酬額の目安として基本報酬は月額2万円で、管理する財産額が1,000万円~5,000万円以下の場合は月額3~4万円、5,000万円を超えると5~6万円が目安となっています。

 

一方、任意後見の場合は、第三者へ依頼した場合の報酬額は月額3~5万円が目安となります。ほかにも、公証役場で委任契約を結ぶ段階で公証人手数料などが必要です。本人の財産や収入が少ない場合、自治体の助成制度を利用できることもあり、札幌市北区においては報酬の一部を軽減する仕組みが用意されています。より詳しく知りたい方は専門家へお問い合わせください。

 

あらかじめ支援策や費用助成の条件をチェックしておけば、家族全体の負担を抑えながら確実な手続きを行うことが可能です。

成年後見制度の支援・推進

札幌市北区に住む高齢者やそのご家族が、成年後見制度をスムーズに利用できるように、市や社会福祉協議会などがさまざまな支援・推進事業を行っています。情報提供だけでなく、申し立ての具体的手順や書類作成のサポートも期待できるため、初めて制度を利用しようと考えている方にも心強い存在です。

札幌市成年後見推進センターの役割

札幌市成年後見推進センターは、成年後見制度に関わる広報や相談受付を中心とした専門機関として機能しています。ここでは、法定後見や任意後見についての概要説明、申立のための必要書類や準備事項などを丁寧に教えてもらえます。

 

また、制度を活用する際の費用や、第三者後見人を希望するときの流れなどについても相談可能です。相談には予約が必要な場合が多いので、札幌市北区から問い合わせをする際は事前連絡を入れてスケジュールを調整するとよいでしょう。

 

さらに、札幌市成年後見推進センターは社会福祉協議会など地域の支援機関と連携し、無料相談会を開催することもあります。仕事や子育てで忙しい方でも、休日や平日夕方に合わせた相談日程を見つけられることがあるため、上手に活用してみてください。

成年後見制度利用支援事業と報酬助成

成年後見制度を利用したいものの、「費用の負担が大きそう」「後見人の報酬支払いが難しい」という不安を持つ方は少なくありません。そこで札幌市では、一定の収入や資産基準を満たした方を対象にした「成年後見制度利用支援事業」が行われており、成年後見人、保佐人又は補助人への報酬費用の全部又は一部を助成する仕組みを整えています。

 

実際の助成金額や申請手続きは個別の事情によって異なりますが、家族だけでは負担しきれない場合や、本人の財産管理に十分な余裕がないケースでは心強い制度となるでしょう。

 

申立後に後見人が選任された後でも、助成の申し込みが可能性もあるため、迷ったときには遠慮なく札幌市成年後見推進センターや市役所の福祉関連窓口へ尋ねてみると安心です。一度お問い合わせしてみてください。

任意後見と関連制度

後見制度を活用する際は、法定後見だけでなく任意後見の選択肢や、近年注目されている他の制度との組み合わせも検討すると、より柔軟で安心感のある仕組みづくりが可能です。札幌市北区でも、高齢の親を持つ方々が、財産管理や将来のリスクに備える方法として関心を高めています。

任意後見制度と民事信託

任意後見制度は、本人がしっかり判断できる段階で「将来もし認知症や能力低下が起きたときに備え、信頼できる人に事前に代理権を委任する」ものです。具体的には公証役場で契約を結び、後見が開始するタイミングになると、家庭裁判所が任意後見監督人を選任し、制度が正式に動き出します。

 

この任意後見とあわせて注目されているのが民事信託(家族信託とも呼ばれます)です。これは財産を信頼できる受託者に託し、財産管理や資産運用を本人に代わって行ってもらう仕組みとして活用されています。

 

例えば、不動産の管理や相続に関する財産の分配など、柔軟に設定できるため、札幌市北区でも「将来に備えて任意後見制度と合わせて民事信託を利用しておきたい」という声が増えています。

 

ただし、民事信託は公的制度と異なり、内容の設計や契約書作成に専門知識が求められるため、行政書士、司法書士や弁護士など専門家に相談しながら進めることが肝心です。

相続登記の申請義務化について

令和6年4月1日から始まる相続登記の義務化は、不動産の名義が長年放置されることで起きるトラブルを減らすための改正です。この制度により、親が亡くなった際に相続が発生した場合は、そのまま名義を変えず放置するのではなく、法定期間内に相続登記の申請を行う必要があります。

 

札幌市北区に土地や建物を持つ方の中には、認知症などで判断が不十分になった親名義の不動産をどう手続きすればいいか悩んでいるケースも多いです。こうした場合、成年後見人が家庭裁判所の許可などを得ながら手続きを進めることが可能になります。

 

また、相続登記の義務化に伴い、遺産分割が終わらないまま所有権が宙に浮いた状態になると、後々の手続きが複雑化するリスクが高まるため、早めの対策が大切です。札幌法務局や市内の相談窓口を活用すれば、必要書類の確認や具体的な申請方法についてアドバイスを得られるでしょう。

よくある質問

札幌市北区で後見制度に関する相談をされる方からは、次のような質問がよく寄せられます。「親はまだ認知症と診断されていないが、どのタイミングで手続きを始めればいいのか」「後見人の報酬はどれくらいかかるのか」「家族が後見人になれない場合はどうすればいいか」などです。

 

まず、まだ能力がしっかりしている段階であれば任意後見の契約を結び、将来的な備えを整える方法があります。報酬に関しては、家庭裁判所が後見人の業務量や本人の財産状況を考慮して決定するため一律ではありません。

 

ただし、市や社会福祉協議会の助成制度を利用できることもあるので、費用面が不安な場合は札幌市成年後見推進センターへ早めに問い合わせるとスムーズです。

 

また、家族がなれない場合は第三者後見人として弁護士や司法書士が選任されることが一般的で、本人の利益を最優先に管理・代理行為を行います。どのケースにも共通して言えるのは、専門機関や市区町村の窓口へ相談することが最初の一歩だという点です。

まとめ

札幌市北区で高齢の親を心配している方にとって、成年後見制度や任意後見制度、さらには民事信託などは心強い選択肢になります。本人の判断能力が低下してしまう前に準備することで、財産管理や医療・介護の方針決定などを円滑に進められるでしょう。

 

家庭裁判所への申立や費用に関する疑問が生じたら、札幌市成年後見推進センターや社会福祉協議会、あるいは司法書士事務所などの専門家に相談することが大事です。後見人の選任方法や報酬助成を活用すれば、経済的負担を抑えつつ安定した支援を得られます。

 

相続登記の申請義務化も近づいており、不動産を管理するうえで早めの対策が必要になる場合もあるため、家族間で話し合いの機会を設けてみてください。将来に備えて確実に制度を使いこなし、大切な家族をしっかり守っていきましょう。