札幌で空き家売却・買取を検討する人へ
2025年02月19日
空き家の基礎知識
空き家は全国的に増えてきており、その背景には高齢化や相続を機に利用しなくなった住宅の存在があります。特に維持管理が難しくなると、建物が劣化して売却価格にも影響を与えかねません。まずは空き家について正しく理解し、リスクを踏まえた検討を進めていきましょう。
空き家とは?
空き家とは、長期間住まわれていない住宅や建物のことを指します。具体的には「一年以上使われていない状態」などの行政上の定義がありますが、実際は短期的に居住していないケースも広く空き家と呼ばれることが多いです。例えば、親族から相続した一戸建てが放置されている場合は典型的な事例といえます。
所有者としては「いつか使うかもしれない」という思いがあっても、空き家は管理費や固定資産税などの費用がかさんでしまいがちです。さらに室内の清掃も滞りやすく、札幌のように寒暖差のある地域では建物の劣化スピードが速まる可能性があります。空き家をそのままにしておくと老朽化による資産価値の低下が起こりやすく、将来の売却で思わぬ減額を受ける要因になることもあるでしょう。
一方で、空き家といっても物件の状態や立地条件はさまざまです。札幌市の中心部に近いエリアなら需要が高いかもしれませんし、郊外でも住宅街として開発が進んでいる地域なら売却や買取のチャンスがあります。そのため、まずは自分の空き家がどんな特徴を持つのか、不動産会社の意見を交えながら確認することが大切です。
空き家放置のリスク
空き家を長期間放置していると、防犯面や衛生面で問題が生じやすくなります。人の出入りが少ない建物は侵入者に狙われやすく、また湿気や雪による痛みも管理不足によって深刻化してしまうでしょう。草木が伸び放題になると近隣トラブルにもつながるので、地域住民から苦情が寄せられるケースもあります。
さらに、使っていない空き家でも固定資産税は引き続き発生します。とくに年金で暮らす方にとっては負担が大きく、生活費を圧迫する要因にもなりかねません。自分の体力や時間が十分なら定期的に管理できる方法もありますが、高齢になるほど掃除や草刈りの作業は難しくなるでしょう。
放置によるデメリットは建物の老朽化だけではありません。将来的に売却を検討している場合は、物件の劣化が進むほど査定価格が下がる恐れがあります。札幌のように寒さが厳しい地域では、暖房設備や屋根の状態が売買の大きなポイントになることも多いです。こうしたリスクを回避するためにも、早めの対応や計画的な検討が欠かせません。
札幌の空き家事情
ここ数年、札幌では中古物件に関心を持つ人が増えています。一方で、人口が集中する地区とそうでないエリアの差は大きく、地域によっては空き家が増加傾向にあるのも事実です。自治体の支援制度をうまく活用すれば、売却や賃貸活用のチャンスを見つけやすくなるかもしれません。
札幌における空き家の現状と特徴
札幌市は北海道の中心都市として多くの人が集まりますが、郊外や市境近くでは住民が減少しているエリアも存在します。このような地域では空き家となった一戸建てや住宅が目立ちやすく、固定資産税だけがかかり続けているケースもあります。
一方、都心部に近い物件は不動産需要が高く、売却や買取が比較的スムーズに進む可能性があるでしょう。特に地下鉄やバス路線が充実しているエリアでは、若い世代が中古住宅を検討することが増えています。建物の築年数やリフォームの状況によっては、高齢の方の暮らしやすいバリアフリー化を前提に再利用される事例も出てきました。
札幌という都市は四季の寒暖差が大きく、雪対策のための断熱機能が必要です。そのため、古い空き家ほど屋根や外壁の痛みが懸念材料になります。査定のときに修繕費用が考慮されるため、売却額や買取価格が想定より低くなることもあるでしょう。こうした点を踏まえ、早めに不動産会社へ相談して適切な方針を見出すことが重要です。
札幌市・自治体の支援策や制度はある?
札幌市では、空き家の有効活用を推進するための制度として「空き家バンク」の取り組んでいます。登録された空き家を探している人と所有者がマッチングすれば、売買や賃貸につながります。
また、一定の条件を満たす場合に改修費用の一部を補助する制度など、地域によって独自の対応があるので要チェックです。具体的には、建物の耐震補強やバリアフリー改修を助成してくれることもあります。高齢の方が複雑な書類をそろえる負担を軽減するサポートも期待できるでしょう。
ただし、自治体の支援策は期限や受付数に上限があるケースが多く、タイミングを逃すと受けられない可能性もあります。そのため、札幌市役所の関連窓口へこまめに問い合わせ、最新情報をつかんでおくことが大切です。
空き家を売却・買取するメリットとデメリット
空き家の売却方法には、大きく分けて「不動産会社の買取」と「仲介による売買」があります。また、建物を解体して更地として手放す選択肢や、リフォームを施してから価格を上げて売るパターンも存在します。それぞれのメリットとデメリットを知り、自分の状況に合った選択をするのがポイントです。
買取を利用するメリット・デメリット
不動産会社による買取は、短期間で資金化できるのが大きなメリットです。物件の内覧や買い手探しの手間が少なく、契約も比較的スピーディーに進みます。訪問査定を行った後は仲介手数料が発生しない点も魅力といえるでしょう。高齢の方や、遠方に住んでいて頻繁に札幌へ行けない方にとっては手続きがシンプルなのは大きな強みです。
しかし、買取の場合は仲介で売却する相場より低い価格になりやすい点がデメリットとなります。リフォームや解体の費用負担を前提として買取価格が調整されることも多いため、「なるべく高く売りたい」という希望が強い人には物足りないかもしれません。物件の条件によっては買取自体を断られる可能性もあるので、複数社に相談して見積もりを比較してみることが大切です。
仲介を利用するメリット・デメリット
仲介による売却は、市場相場に近い価格で売りやすいことが強みです。札幌で需要が高い地域や、住宅としての設備がまだ十分使える空き家なら、満足のいく取引につなげられる可能性があります。買い手が見つかりさえすれば、売却額から仲介手数料等を除いた手取りは買取よりも高い売却益を得られることが多いでしょう。
ただし、買い手が現れるまで時間がかかるリスクがあり、場合によっては売り出しから半年以上待つこともあります。内覧の準備や物件の清掃など、実際に動く作業が発生する点にも注意が必要です。高齢になり体力が落ちているときには、不動産会社のサポート体制をしっかり確認しておきたいところです。
解体・リフォームしてから売る場合の注意点
空き家を「更地として売却」するか、「リフォーム済み物件として売るか」は大きな分かれ道です。古い建物を解体して土地として売ると、買い手が新築を建てやすくなるメリットがあります。解体にかかる費用が発生しますが、建物の老朽化リスクを考えなくて済む点は魅力といえるでしょう。
リフォームして売る場合は、内装や水回りを一新して住宅としての価値を高められます。その結果、高い売却価格を期待できる可能性がありますが、リフォーム費用や工期がかさむリスクも覚悟しなければなりません。特に札幌の冬場は工事期間が延びることもあるので、スケジュール管理が重要です。
解体やリフォームを検討する際には、物件の築年数や周辺の相場をチェックしながら、投資した費用がどれほど回収できるかを見極めることが大切です。
空き家売却・買取の具体的な流れ
空き家を売りに出す際の流れは、大まかに「準備」「契約」「引き渡し」に分けられます。特に相続した物件の場合は、相続登記が義務化されるなど手続きが複雑になる場合もあるので注意が必要です。
売却前の準備と査定のポイント
最初に行うべきことは、必要な書類や情報をそろえることです。登記簿謄本や測量図、建築確認書などを一式用意しておくと、不動産会社が査定を進めやすくなります。また、札幌の物件の場合は雪害の有無や暖房設備の状況なども査定に影響することがあるので、できる限り物件情報を整理しておきましょう。
2024年4月からは相続登記が義務化されるため、相続した空き家の名義変更を先に済ませる必要があります。名義が曖昧だと売買契約そのものが成立しにくくなるため、早めに司法書士や役所へ相談するのがおすすめです。査定は複数の不動産会社に依頼して比較することで、納得のいく売却価格に近づきやすくなります。
契約までのステップ
査定価格に納得したら、不動産会社との媒介契約を結びます。このときに契約形態(一般、専任など)を選択することになり、売買活動の進め方が変わってきます。高齢で遠方からの管理が難しい場合は、こまめに報告をしてくれる会社を選ぶと安心です。
その後、購入希望者の内覧や価格交渉が行われます。空き家が長期間放置されていた場合は、内覧時の印象を良くするために軽い清掃や家具の撤去を行うことも大切です。交渉がまとまれば売買契約を結び、手付金を受け取ります。契約書や重要事項説明書をしっかりチェックして、不明点はすべて解消しておくことがトラブル回避につながるでしょう。
税金・特例制度(3,000万円特別控除)
空き家の売却では、譲渡所得税が発生する可能性があります。そこで利用したいのが3,000万円特別控除という制度です。一定の要件を満たせば、家を売って得た利益のうち3,000万円分を課税対象から外せるメリットがあります。
ただし、この特別控除を受けるためには「亡くなった方が一人で住んでいた住宅である」「取り壊し後に更地として売却する際は建物取り壊し後の期限を守る」など、細かな条件が設定されています。実際には税理士に確認しながら、必要書類をそろえて手続きを進めるのが確実です。
トラブル事例と対策
空き家の売買や買取には、思わぬところでトラブルが起こることもあります。特に高齢者にとっては、複雑な契約書や売買条件の把握が難しく感じられるでしょう。事前に対策を立てておくことが肝心です。
よくあるトラブル例
一つ目によく耳にするのは、過剰に契約を急かされるケースです。「今すぐ決めないと買取できない」といった極端な話を持ちかけられて焦ってしまうことがあります。また、いくつかの不動産会社に査定を依頼した際、極端に低い金額を提示されて不安になる人もいるでしょう。
担当者との相性も意外と重要です。家の管理や書類準備などをサポートしてほしいのに、連絡がスムーズに取れない担当者だと困ってしまいます。さらに、「買い取ってもらえる」と思っていた物件が実際には条件に合わず、手続き直前で話が流れてしまうこともトラブルの一つです。
トラブル回避のためのポイント
トラブルを防ぐためには、複数社への相談が第一歩になります。高齢者ほど「一社だけに依頼して安心してしまう」ことが多いのですが、最低でも二社以上に相見積もりを取って比較すると、不当に安い査定価格をつけられるリスクが下がります。
また、口コミや評判をチェックして、信頼性のある不動産会社を選ぶことも重要です。売買契約前に分からない点があれば、遠慮せずに質問しましょう。最近ではオンライン面談や電話相談など、札幌にいなくても対応してもらえる機会が増えており、離れて暮らす家族とも共同で話を進めやすくなっています。納得できるまで慎重に検討してから契約するのが安全です。
空き家の活用方法
空き家は売却や買取だけが選択肢ではありません。賃貸として貸し出したり、リフォームして活用したりする方法も考えられます。札幌の立地や物件の状態によっては、思わぬ形で資産として生かせる可能性があります。
買取・仲介による売却
最もポピュラーなのが、空き家をそのまま売却する形です。買取を選べばスピード重視、仲介を選べば相場に近い価格で売りやすいという特徴があります。売買契約が成立すれば、老後資金や次の住まいの費用に回せるのが大きなメリットです。
ただし、建物の老朽化が進んでいる場合、特に雪国の札幌では屋根の状態や断熱の有無などがチェックポイントになります。これらの要素がマイナス査定につながることもあるので、事前に修繕すべきかどうかを不動産会社と相談するといいでしょう。
リノベーションして売りに出す・貸し出す
空き家をリノベーションし、住環境を大幅に改善してから売却する手法も増えています。間取りの変更や、断熱材を入れるなどのリフォームを行うことで、札幌の寒さにも耐えられる住宅へとアップグレード可能です。結果として売却価格が上がる見込みがあるため、投資として魅力的に感じる人も少なくありません。
ただし、工事には時間と費用がかかります。高齢の方にとってはリフォームに伴う手続きや現地立ち合いが大きな負担になりかねません。将来的に誰が管理するのか、リフォーム後にすぐ入居者が見つかるかなど、不確定要素も多いため、家族と相談して慎重に検討することが望ましいでしょう。
更地にして土地を売る
建物を解体して土地だけを売却する方法もあります。建物が古く、修繕費がかさむ空き家の場合は更地のほうが買い手がつきやすいこともあるでしょう。購入者にとっては、新築を建てやすいメリットがあり、自由度が高いからです。
ただし、解体には数十万円から百万円単位の費用がかかることも珍しくありません。加えて、更地にすることで住宅用地特例が外れることがあり、固定資産税が上がるリスクもあります。そのため、解体と土地売却をセットで行う場合は、不動産会社と相談して総合的に判断することをおすすめします。
賃貸として活用する
「売却するほどではないが、固定資産税や管理費が苦しい」という場合は、賃貸活用を選ぶ手もあります。リフォームを最小限にとどめて貸し出し、家賃収入で維持費をまかなう方法です。札幌では単身者向けやファミリー向けなど、需要があるエリアなら利益につながる可能性があります。
しかし、空き家を賃貸に出すにはオーナーとしての管理責任が続くことを理解しておかなければなりません。入居者との契約更新、家賃滞納時の対応、設備トラブルの修理など、負担が増えるケースも少なくないです。高齢で体力に不安がある方は、管理業務を代行してくれる不動産会社の存在が重要となるでしょう。
よくある質問(FAQ)
空き家の売却や活用には、不明点が多くつきまといがちです。ここでは札幌で空き家を手放すときによく寄せられる疑問をまとめました。
札幌の空き家査定はどこに依頼すべき?
地元に強い不動産会社に依頼すると良いでしょう。札幌の相場事情を熟知した担当者なら、地域特有の雪害リスクや公共交通の利便性なども踏まえて査定してくれるでしょう。相続や高齢者向けサービスに強い会社を選ぶと、手続きや細やかなサポートを期待できます。
複数の会社に無料査定を申し込むことで、過度に低い査定額や条件に流されにくくなります。高齢の方であれば、家族に同行してもらい、一緒に聞き取りをするのも有効です。電話やオンライン相談で対応してくれる業者も増えているので、体力や移動の負担を減らせます。
空き家バンクは活用できる?
札幌市や近郊の自治体が運営する空き家バンクを利用すると、登録物件として公開してもらえます。これにより、地方移住や中古住宅を探している人へ情報が広がりやすくなるでしょう。手数料が安く済むことも多く、売却希望者にとってはメリットが大きい制度です。
ただし、全ての自治体が空き家バンクを運営しているわけではなく、登録するには物件所在地がそのエリアにあることが条件となる場合が多いです。また、空き家バンクに登録すると、一般の仲介サイトへの掲載と並行できないケースもあります。利用を検討する際は、市町村窓口や不動産会社にルールを確認すると安心です。
遠方に住んでいる場合の手続きは?
札幌に空き家を持っていても、東京や他の地域で暮らしている人は珍しくありません。遠方から売却手続きに関わる場合、書類送付や契約の立ち合いなど負担が大きいのではと心配されることが多いです。
現在は郵送やオンラインを活用した対応が進んでいるので、何度も現地に足を運ばなくても手続きを進められる場合があります。また、高齢の方が一人で契約するのが不安なら、家族に委任状を準備してもらい、代理で進める方法もよいでしょう。訪問が必要な場面でも、まとめてスケジュールを組んで効率よく進行できるように不動産会社に相談することが大切です。
まとめ
札幌で空き家を売却または買取してもらう際には、立地や建物の状態、そして個々の状況に合わせた方法を選ぶことがポイントです。空き家を放置していると管理負担や固定資産税の問題が続き、老朽化による資産価値の低下リスクも無視できません。
高齢で売買手続きが複雑に感じられるときは、不動産会社や家族に協力を仰ぎながら、必要な情報を整理して段階的に進めるのが安心です。まずは査定依頼や自治体制度の活用を検討し、条件に合った売却や賃貸活用のプランを立てることで、空き家を有効に活かせる可能性が広がるでしょう。